農薬の問題と無農薬野菜が抱える課題

無農薬野菜

農薬の問題について

農産物と農薬の問題は、切っても切れない関係です。
安心・安全に口に入れることができる食材を使いたい、それは誰もが願うことですが、食物については色々な不安がついて回ります。
例えば、農薬や化学肥料による残留農薬の不安、放射性物質の不安、遺伝子組み換えへの不安、輸入食品の安全性への不安等があります。

農家の立場からすると、形の良いものを安定供給しようと思えば、栽培方法の効率化、合理化、またコストダウンの観点から、農薬を使う必要性があることも事実です。
消費者の方も、できるだけ安い食品を求める傾向にあり、安い食材を購入すると、その半面、安全性についての不安を感じることになります。

今後の課題について

有機野菜、オーガニック野菜とも呼ばれますが、これは農林水産省が定める検査に合格してはじめて有機野菜として販売できます。
合格への道のりは簡単ではないため、たくさんの農家が有機野菜を作りたくても断念したり、その一歩が踏み出せないのはとても残念ですが事実でもあります。

日本国内での有機農業をしている農地の割合は、全農地のなんと0.5%にも満たないと言われています。
有機JAS認定には多くの書類を必要とする上、ある程度の費用も発生することが大きなネックになっていると考えます。

何より、有機栽培は手間がおそろしくかかります。
雑草が生えてきますので手作業で除草をする必要があり、農薬を使わないということは病気にもかかるリスクが高まります。
こういった手間がかかる有機栽培で作られた農産物は、当然ながら値段も高くなり、流通量も少なくなります。

有機JAS認定をされる為には、所有する田畑はもちろん、その周りにある田畑までも化学肥料不使用、または制限をかける必要があります。
農薬や化学肥料は、自分が作物を育てている畑だけではなく、風や水によって周りにも飛散してしまう為にこのような制限が設けられているのです。
つまり、自分だけで決められることではなく、周囲の農家からも理解と賛同をもらわなければ有機栽培は実現せず、地域一帯力を合わせて取り組むことが大事になります。

値段をとるか安全をとるか

家計のことを考えれば、食費を抑えることは大切なことですが、安い食品のニーズが多ければ多い程、生産者側としては大量生産や合理化をしなければいけなくなります。
有機栽培をすれば、手間も時間もかかってしまう為、その分値段も高くなってしまうからです。

値段ではなく、安全を求める消費者が増えれば、有機栽培をした農産物を作る農家も増えますので、安全性も高まってくるでしょう。
今までは安さが重視される風潮がありましたが、高齢化社会を迎え、健康に長生きできる安全な「食」のことを考えれば、少しずつ意識改革がされていけば変わっていくだろうと感じています。
今後、より多くの消費者が有機野菜を求めるようになれば、必然的に有機栽培をする農家が増えていくのでは、そう期待しています。